プロローグ

なんか楽しいことないかなぁ。

兵庫県北部の高校に通うオレは、
なんとなくつまんない毎日を過ごしていた

自転車で往復2時間、なんとなく授業を聞いて
楽しいことと言えば、部活。以上。
そんな高校生活。

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高二の冬、我が家にパソコンが来た。
インターネットが開通した。

だがやることがない。
とりあえず、ヤフージオシティーズでホームページを作ってみた。
全然分からん。HTMLってので作るらしい。意味わからん。

高三になった。
楽しい部活を引退し、待っていたのは毎週のように
土日に行われる模試。

2回くらい受けなかったら、担任に怒られた。
田舎の進学校になぜか進学してしまっていたので、
模試を受けるのは当たり前みたいな雰囲気だった。

なぜオレの休みに模試を受けないといけないのか?
オレの休みを返せ!
オレはモンスターハンターがしたいんだ!

つまんない毎日だった

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高三の夏。
受験生にとったら、勝負の夏。
この夏休みの頑張りが、大学受験に大きく関係するらしい。
だが、そんなことは関係ない。
だって、勉強はつまらいい。

いま面白いのはインターネットである。
ネット銀行のイーバンク銀行を開設してみたけど、通帳ないしメールで送金出来てすごいし
田舎にない本はAmazonっていうサイトでなんでも買える。
上海問屋には、田舎にない安いメモリとか売ってて、
2ちゃんねるという所には、この世の極秘情報が書き込まれ
WinnyはP2Pという技術を使い、映画やゲームが無料で取り放題。

なんてすごいんだ、インターネッツは。
2ちゃんねるとWinnyはウイルスが怖くて手が出せないでいるけど、
すごいぞインターネッツ!

そしてオンラインゲームがすごい。
メイプルストーリーっていうゲームを始めたが、無料でゲームが出来るのだ。
ゲームソフトを買わなくてもゲームが出来るのだ。
すごすぎる!

そんなことをしてたら、夏休みはあっという間に終わった。
夏休みが終わった学校は、受験モードに突入し
「偏差値がー、青チャートがー、赤本がー」
そんな言葉をよく聞くようになった。

一方オレは、ヒカルの碁で目覚めてしまった囲碁を勉強するために、
ゲームボーイアドバンスで囲碁をやっていた。

家に帰ってからは、なんとなく分かってきたホームページ作りに掲示板を付けるべく
Perl をいじっていた。が、全然分からん。

受験、模試、部活のない日々、
こんなつまんない毎日早く終わればいいと思った

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年が変わり1月。
センター試験の季節がやってきた。

なぜ勉強嫌いなオレがセンター試験を受けに来ているかというと
1人暮らしがしたいからである。

大学合格 → 上京 → 素敵な1人暮らしライフ!

このつまんない毎日を脱出するには、これしかない!
目指すのは、大阪市立大学。
理由は国公立で大阪の街中に近いから。

うちはお金がないから、私立はダメ。国公立のみ。
んで、大学の内容はどうでもいい。
都会に出る理由さえあればなんでもよかった

うちの高校は、神戸大学で試験を受けるらしく
前日に神戸に泊まりに来ていた。

ホテルの他の同級生の部屋では、
「木村カエラって知ってる?次の曲がすげぇいい!」
とかなんとか。
明日センター試験なのに、余裕だな。

オレは全然余裕ではない。
というか、オレは英語が苦手である

これまでの最高得点は120点。
200点満点なので、60%の得点率
さらに、ムラっ気が大きく、悪い時は100点を切る。

これをどうにかすれば、センター8割越えは余裕。
だが、センター前日。どうすることも出来ない。

これはあれだ、運に任せるしかない。
人事は尽くしていないが、天明だけ待とう。

というわけで、消しゴムでサイコロを作って1~6までの数字をマジックで書いた。
それを転がして、出た数字で挑もう作戦をすることにした。英語は。

試しに、英語のセンター過去問を10年分消しゴムサイコロでやってみた。
なんと、正解率8割!

きた…キタ…キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!
これぞ天明!
オレの時代到来!

そして、センター本番をやり切った。
もちろん、英語はこの神のサイコロを使った。10分で英語を解き切った!

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そして自己採点の時が来た。

英語はなんと!!!
97点

200点満点中97点

終わった…
天明はこなかった。

他にもいつもは点採れるところで採れなかったりしてて
本番に激弱なのが判明した

最終的にセンター試験は630点弱だった
大阪市立大学に行って、華麗なる都会ライフがここで潰えた。

就職するか。
そんなことを考えて臨んだ、三者面談。

「山下、市大は無理だ。代わりに信州大学とかどうだ?ちょっと大変かもしれないけど
 二次試験しだいではどうにかなるかもしれないぞ」
「先生、オレ就職します!」
「おい山下、よく考えろ。大学は出といた方がいい」
「いえ就職します」
「そうか…ちなみに二次試験がない大学もあるぞ」
「マジっすか!?先生!」
「マジだ。北見工業大学って知ってるか?」
「知りません」
「北海道にある国立大学だ。ここなら学費も安いし、奨学金もあるし、どうだ?」

神はオレを見捨てなかった!
北海道だろうとどこだろうと、1人暮らしが出来るなら
ぶっちゃけどこでもいい!
しかも、二次試験受けなくていいとか最高!

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そして、みんなが二次試験の勉強している2カ月の間、
大学に必要だからと、自分用のパソコンを買ってもらい、
そのパソコンで、オンラインゲーム「メイプルストーリー」の火ドレを狩り続けていた。

夜の方がサーバーが安定していたので、
朝方眠って、昼過ぎから夜に活動、風呂と飯以外はゲーム。
あっという間の充実した2カ月だった。

そして2005年4月、ついに1人暮らしが始まる。

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